名古屋ユニオン
名古屋を挙げたコラボレーション
名古屋のクラフトビールシーン
名古屋のクラフトビールシーンは、過去10年間で着実に、そして大きく成長してきました。かつては日本の他地域に遅れを取っていましたが、現在では勢いを増しており、この3年間だけでも名古屋エリアに約10軒の新しいブルワリーが誕生しています。生産量の増加に伴い、クラフトビールバー、タップルーム、ボトルショップの数も増え、地元の飲酒文化に新たな活気をもたらしています。
大きな転機となったのは、2014年にYマーケットブルーイングが立ち上がり、名古屋におけるクラフトビールの近代的な時代の幕開けと広く認識されたことです。それ以前にも「地ビール」の醸造所はいくつか存在していましたが、多くは品質が低く、最初のブーム後に衰退していきました。皮肉なことに、その崩壊が本格的かつ熟練した醸造文化が根付くきっかけとなりました。
ホップバッズ、Tall Boys Brewing、Yマーケットなどの主要プレイヤーが名古屋のクラフトビールシーンの形成に貢献し、名古屋はクラフトビール愛好家や在住外国人、そして特別なビールを求める旅行者にとっての目的地となっています。ベルギービール・ウィークエンド、ワールド・ビア・サミット、ビアフェス名古屋などのビールフェスティバルも、名古屋のビールシーンの知名度を高め、新たなファンが地元ブルワリーのビールを探求するきっかけを作っています。
長年にわたり、Yマーケットは名古屋のブルワリーの中で唯一、地域外でも広く認知されていました。一方、Hop Budsはシーンの初期からアメリカのクラフトビール醸造所を日本に紹介する役割を果たし、モダンタイムス、スティルウォーター、ヘレティックといったブルワリーの醸造家たちを名古屋に招きました。これにより、地元の小規模醸造ビールへの関心が高まり、多くの熱心なファンが集まるようになりました。

名古屋で起きていること
今日、名古屋各地でクラフトビールの醸造所やバーが次々とオープンし、ビール愛好家たちは味の好みを洗練させ、より幅広いフレーバーを探求しています。好みが進化するにつれて、ビールスタイルも多様化しています。IPAは依然として定番ですが、サワーやスタウト、そして特に高品質なクラフトラガーなど、新感覚のビールスタイルへの関心が高まっています。これらのスタイルはバランスとニュアンス、そして職人技を重視し、伝統と挑戦の両方を楽しむ成熟した飲み手たちの姿勢を反映しています。
地元のビアバーも、この変化を積極的にリードしています。Binge Nagoyaでのタップテイクオーバーや、Midtown BBQで提供されるクラフトビールと特製料理のペアリングは、ビール教育を親しみやすく社交的な体験にしています。こうしたイベントは、より多様なスタイルのビールへの理解と評価を深めるきっかけとなっています。
この成長の背景には、深い「つながり」があります。名古屋では、飲み手たちはラベルに記された名前ではなく、ビールの背後にいる隣人、常連客、ビジネスパートナー、友人たちを知っています。この親近感が信頼と忠誠心を育み、名古屋が誇るクラフトビールコミュニティの精神をさらに強化しているのです。
コラボレーションの背景にあるビジョン
名古屋ユニオンのプロジェクトは、業界の閑散期に生まれたささやかなアイデアから始まりました。Tall Boys Brewingの醸造責任者コリンが、最初にオゾン・ブリューパブの松本さんに小規模なコラボレーションを持ちかけたのです。しかし、ランチで何杯か飲むうちに、「もし名古屋中のブルワリーが参加したら?」というアイデアに発展していきました。
この前代未聞のコラボレーションは、名古屋で初めての試みであり、地元醸造家たちの才能を披露する舞台となりました。参加する各ブルワリーは、その技術力と個性を評価されて選ばれました。
Tall Boys Brewing、Yマーケット・ブリューイング、ミヤ・ブリュー、ブリューパブ・オゾン、マルティネス・ブリューイング、バタフライ・ブリューワリーの6つの醸造所は、1つの共同バッチを作るのではなく、共通のベースレシピを用い、それぞれ独自の解釈で同じビアスタイルを醸造しました。酵母と麦芽の選定は共通としつつ、ホップの選択と仕上げの細部は各醸造家のビジョンを反映させ、絶妙な一貫性と創造的表現のバランスを実現しています。
このプロジェクトの目的は、単に美味しいビールを作ることではありません。名古屋で、技術と互いを思いやる心を持つ人々が、世界に誇れるビールを醸造しているというメッセージを発信することです。競争ではなく、コミュニティの構築こそが目指すものです。
コリンもこう語っています。「私たちは競争相手ではありません。潮が満ちれば、すべての船が浮かび上がるのです。」
名古屋のクラフトビール醸造所
6つのブルワリー。ひとつの街が団結。
名古屋ユニオンのコラボレーションには、6つの地元ブルワリーが参加し、それぞれがヘイジー・ペールエールというスタイルに独自のアレンジを加えています。核となるレシピは、クリーミーでヘイジーなボディと表現豊かなニューイングランド酵母をベースにしています。そのうえで、各醸造所がフルーツや実験的なホップ、大胆なアロマなど、それぞれの個性をプラスしています。
トロピカルや柑橘系のフレーバー、滑らかな苦味、ミディアムボディのフィニッシュが特徴です。マルティネス・ブルーイングのフルーツを前面に出したバージョンから、Yマーケットがファンタズム・パウダーを使用した実験的なホップブレンドまで、それぞれが共通のビジョンに異なるアプローチで挑んでいます。
このようなスタイル・ショーケースは国内初の試みであり、
反響が大きければ今後は毎年恒例のイベントになる可能性もあります。
Tall Boys Brewing
笠寺、南区
Tall Boys Brewingは、品質、親しみやすさ、そしてコミュニティを大切にするビールづくりに情熱を注ぐ3人の友人によって設立されました。大胆でありながらバランスの取れたスタイルと、誰でも気軽に立ち寄れるタップルーム文化で知られています。名古屋ユニオンでは、トロピカルなアロマ、甘いキャンディのような香り、滑らかでクリーミーな後味が特徴で、何度でも飲みたくなる味わいに仕上がっています。
ワイマーケットブルーイング
中村区 名駅
名古屋のモダンクラフトビールのパイオニア。Yマーケットブルーイングは、常に限界に挑戦する姿勢と、卓越した技術と実験的なセンスで知られています。名古屋ユニオンでのバージョンでは、ニュージーランド産ソーヴィニヨンブランのブドウの皮から抽出されたチオール(芳香成分)を豊富に含むホップ製品「ファンタズムパウダー」など、最先端の原料を使用しています。
ブリューパブおおぞね
北区
小ロットの新鮮さにこだわる、地元で愛される人気店。すべての工程をひとつ屋根の下で行う、親密なクラフトビール造りが特徴です。このコラボレーションにおける彼らの貢献は、自身のハウススタイル——表現豊かでホップが前面に出たキャラクターと、軽快で飲みやすいフィニッシュ——を反映しています。プロジェクトへの最初の参加者の一つとして、そのリーダーシップはコラボレーション全体の方向性を決定づける役割を果たしました。
マルチネス醸造所
千種区
アメリカのルーツと地元のセンスを融合させた新進気鋭のブルワリー、マルティネスブルーイング。料理にインスパイアされたクリエイティブなビールで知られています。名古屋ユニオンでは、ヘイジーペールエールに本物のフルーツを加え、ベースレシピを尊重しながらも、際立つ明るさと豊かな風味の新たなレイヤーを取り入れています。
みゃーブリュー
星ヶ丘
名古屋のビールシーンに新たに登場したMYA BREWは、クリーンな味わいと技術的な正確さにこだわっています。このコラボレーションでは、ホップの個性をクリアに際立たせ、ジューシーさとほのかな苦味のバランスを取った、洗練され親しみやすいボディに仕上げました。ビール愛好家から初心者まで楽しめる味わいです。
バタフライブルワリー
長久手市
当初のラインナップには含まれていなかったバタフライブルワリーは、このプロジェクトの噂を聞き、自ら参加を希望。名古屋ユニオンが大切にするコラボレーション精神の表れでもあります。遊び心あふれる独創的なレシピに定評がある彼らの解釈は、大胆なホップアロマと鮮やかなヘイズ、そして自信に満ちた爽やかな後味が特徴です。
この取り組みが重要な理由
名古屋のクラフトビールシーンは成熟し、そのコミュニティはこれまでになく強固なものとなっています。このコラボレーションは、名古屋がビール愛好家にとって必ず訪れたい場所となったことを祝うだけでなく、名古屋のアイデンティティを示す絶好の機会となりました。私たちは、もはやただ成長を続けている存在ではありません。すでにその地位を確立しています。
名古屋の飲み手にとっては、新しいブルワリーを発見し、スタイルを比較し、自分たちの街のビールシーンの多様性を一度に体験できる絶好のチャンスです。名古屋以外のビールファンにとっては、これまで見過ごされがちだった名古屋に改めて注目し、新たな視点で楽しんでもらいたいというメッセージでもあります。
コリンはこう語ります。
「名古屋って、普通は“面白い街”って思われてないですよね。でも、このプロジェクトはこう言っているんです。『もう一度見に来てください。ここには活気あふれるシーンがあります』」
地元で醸造し、全国を見据える
名古屋ユニオンのプロジェクトは、名古屋だけでなく、日本全国の地域ブルワリーに向けた力強いメッセージとなっています。東京や大阪といった目立つ中心地以外でも、才能と情熱が息づいていることに光を当てています。イノベーション、コラボレーション、そしてクラフトマンシップは、支えるコミュニティさえあれば、どんな街でも花開くことを示しているのです。
「名古屋は静かに大胆な街です。このコラボレーションには、その精神が表れています。」とコリンは語ります。
6つのブルワリーがグループとしてスポットライトを浴びることで、これまでのイメージを一新し、クラフトビールの舞台に名古屋の名を刻もうとしているのです。
クラフトビールにおけるコミュニティの役割
コラボレーションはクラフトビール文化の核心です。世界では、ブルワリー同士が長年にわたり力を合わせ、ビールを共に創り、技術やアイデアを共有し、創造性を讃え続けてきました。地元でも、そのエネルギーがイノベーションの原動力となっており、多くの場合、会議室ではなくビアバーやタップルームでの一杯のビールから新たなアイデアが生まれています。
笠寺にあるトールボーイズブルーイングのタップルームでも、何気ない会話が本格的なプロジェクトへと発展することがよくあります。その一例が、近隣の自然保護団体「笠寺みつばち」と協力し、地元の蜂蜜を使用して醸造された特別なエールビールです。こうした地域に根ざした活動は、コラボレーションがこの地域文化にいかに深く根付いているかを物語っています。
自主性、好奇心、相互支援といった共通の価値観が名古屋のブルワリー同士を結びつけています。ビールの品質向上だけでなく、名古屋という街の評判を高め、クラフトビール愛好家にとって最高の目的地となるために、互いに支え合いながら成長を続けています。
どこにある?
500ml缶と15L樽入りの名古屋ユニオンヘイジーペールエールは、名古屋市内および近郊の一部小売店、タップルーム、提携店舗にて限定販売されています。各ブルワリーが独自のアレンジを施しており、コラボレーションの創造性を存分に味わうには、ぜひ飲み比べてみてください。
ただし、数に限りがあります。なくなり次第終了となります。
タップルームでも販売中!今すぐお試しください!